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学校事務職員の皆さんに、自らの職務について語ってもらいました。
(登場者はすべて架空です)

 甲斐さん(43歳女性)工業高校勤務

  主に施設管理を担当しています。建物内の天井や壁、床の傷み、扉、窓ガラス破損、建物外では外壁、自転車置場等の塗装、屋根漏水等があれば、補修や改修工事を行ないます。また電気、電話、浄化槽、消防等の各種設備の維持点検は業者委託で管理しています。他の事務職員には仕事の必要上から、各種資格を取った方もいらっしゃいます。おかげさまで自宅のメンテナンスはほとんど自分でできるようになりました。

 津曲さん(28歳女性)商業高校勤務

  私は設備備品の調達、管理を行なっています。授業を行なう上で必要となる生徒用机、椅子から視聴覚備品、実験用器具、体育用品、印刷機器、事務用品まで担当の先生達と相談しながら品物を選定し、揃えます。苦労して整備した教材を使って生徒たちがいろいろな発見をしたり、知識や技能を高めている姿を見るとやりがいを感じます。商業高校では特に電子計算機(パソコン)など情報教育機器が充実しており、そのため周辺機器も含めてパソコン関連には大分詳しくなりました。

 中武さん(35歳男性普通高校勤務

  私は職員の給与、諸手当、福利厚生を担当しています。この仕事は国の法律や制度の理解が要請されます。給与制度、共済組合制度、少子化を迎えてよく話題になる児童手当法など、国会の動向から目が離せません。年末調整や確定申告、社会保険、年金の手続きなどで、国のいろいろな仕組みや制度を知り、日々の生活に役立てることが出来ます。先生方の相談にのり、感謝されることが一番の喜びです。

 那須さん(25歳男性)工業高校勤務

  私は旅費を担当しています。先生方の研修出張や会議、修学旅行や対外試合の生徒引率、事務出張などでかかる旅費を計算し支給する仕事です。県の旅費条例に則って計算をしますが、一連の流れは財務会計オンラインシステムの端末操作で簡単に処理ができます。ただ、旅行の内容によっては調整の必要なものや県外旅行でも特殊なものについては手計算でしなければなりません。旅費の手引書や時刻表を片手にいろいろなコースやケースを考慮して計算するため、机上の旅行マニアになりました。

 椎葉さん(38歳男性)養護学校勤務

  特別支援学校には就学奨励費という仕事があります。障害を持った子供たちの家庭に経済的な援助を行なう国の制度ですが、人権、福祉、社会保障などの視点が要求されます。家族構成や経済状況などの資料が必要になるため、プライバシーにも気を配らなければなりません。とにかく障害を持った子供たちが、いろいろな学習や体験を味わえるよう予算面からバックアップしています。私自身が障害児学校に勤めることでいろいろな勉強をさせてもらっています。

 平部さん(42歳男性)普通高校勤務

  私は授業料を担当しています。会計のなかでも歳入という分野で県の収入になるものです。授業料の他に施設使用料等の徴収事務も含まれます。高等学校は義務教育と違い授業料を納めなくてはなりません。経済的に納入が困難な場合や休学者には授業料免除や育英会などの制度もあり、その申請手続きも行っています。それら制度の適用を受けた保護者から感謝されたり、先生方と協力して授業料完納が達成され、生徒たちが無事卒業したときなどが一番の喜びです。

 秋月さん(52歳女性)農業高校勤務

  実習会計(特別会計)の仕事をしています。農業高校では生徒の実習でいろいろな生産物を作っており、それらを一般の方々に買っていただき収入としてあげなければなりません。そこから実習に必要な材料や道具も購入します。売り値をいくらにするか、常に市場価格や経済の動向に目を見張らなければなりません。おかげで株式市況にも強くなりました。生徒たちが丹精込めて作ったものが、たくさんの方々に喜ばれて購入され、生徒たちの顔が輝くのを見るとき、なお一層仕事への意欲が湧きます。

 中瀬さん(48歳女性)普通高校勤務

  学校図書館で司書の仕事をしています。図書館の企画運営から資料の収集、整理、保存、また利用者へのレファレンス、生徒図書委員会の指導など広範囲の作業をこなさなければなりません。本が好きなことはもちろんですが、専門的な知識と技術が要求されます。物事に対する興味、関心また探究心や持続性なども要求されます。最近ではパソコンも整備され、学校の情報センター的役割も担わされるようになりました。

最後に事務長の内藤さん(52歳女性)に、今後の学校事務について語ってもらいます。(全国公立高等学校事務職員協会「全国協会五十年のあゆみ」研究資料を参照)

  今日、求められる学校は児童・生徒や職員のみならず、隣接する学校間、地域社会、都道府県間など広範囲な交流が進み、さらに世界各国にまで視野を広げた教育活動、事務管理などが必要になってきています。学校の事務室は、これまでのように学校の中だけで完結することなく、外部の様々な機関との関係が増え、さらに拡大される傾向にあります。 21世紀はマルチメディアの時代といわれるように、教育の世界にもボーダーレスの環境が誕生しつつあるわけです。
  校内LANだけでなく、ネットワーク化はさらに拡大し、その整備は急速に進むでしょう。校内情報を掌握する学校事務の分野にも、校内データベースの維持管理やコンピューティング管理などの業務が必然的に増えてくるでしょう。そのための知識や技能が事務職員としても欠かせません。
  市民講師、外国人講師の採用、児童・生徒の留学、外国人留学生の受入など、国際科のある学校のみならず、どの学校にも重要な業務となってきています。そのためには異文化への知識や理解、また語学力なども要請されてくるでしょう。
  また、生涯学習の一環としての学校という役割も一般化してきています。自由時間の増加、健康への関心の高まり等、学校体育施設開放の要請が高くなっています。加えて、学校が主催する公開講座への期待が増加し、その量的拡大と質的な充実がますます強く望まれています。
  さらに、震災時災害時における学校は、地域社会における災害センターとしての役割が従来にまして重要になってきました。これらの地域ニーズに対応した学校事務の新しい領域が、早急に開拓されなければなりません。
  学校における安全や衛生管理は、従来から学校保健法に依存してきました。しかし、昨今は、労働安全衛生法に基づく職場の安全衛生の充実が求められてきており、学校で働く職員の福利厚生に関わる業務が、学校教育を支えるものとして重要になっています。
  学校図書館については地域の情報センターとしての機能も期待されつつあり、公立図書館等とのネットワーク化が進展するなかで、内的外的環境の整備も進められています。学校図書館の役割は、公共図書館等との連携が大切であり、児童・生徒はもちろん地域の人との情報のやり取りが一層進展するかもしれません。

  学校事務の分野にも新しい発想と創造力豊かな人材が求められています。


資料  今後の地方教育行政の在り方について (中央教育審議会1998/9答申) 抜粋 

5 学校の事務・業務の効率化
 子どもの数の減少により学校の小規模化が進行しているが、その一方で、「総合的な学習の時間」の導入や選択教科の拡大、あるいは学校予算を各学校の要求や実態に応じて編成するなど、学校裁量権限の拡大に応じて、学校の責任において判断し対応することが必要となる事務・業務が今後増えていくことが予想される。また、校長や教職員が子どもと触れ合う時間をより一層確保することも必要である。このため、国や教育委員会等においては、学校が処理すべき事務・業務に係る負担軽減を図るため、調査統計の対象と方法、教職員の研修や研究指定校等の在り方の見直しを含めて、学校が外部から依頼される様々な事務等の軽減を図るための措置を積極的に講じる必要がある。

 また、地域社会と連携した開かれた学校づくりや地域の活力の学校の教育活動への導入・活用、さらにコンピュータ処理や書類の電子化の推進、校内LANや学校と教育委員会を結ぶ情報網の整備など情報化の進展を踏まえて、従来のような事務・業務をすべて校内で実施、処理することとしてこれに必要な組織を整備するという考え方を見直すことも必要である。
 その際、地域や学校の状況に応じて、それぞれの学校や学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、事務・業務の共同実施や教諭以外の専門性を有する者の活用等に積極的に取り組むことが求められる。また、地域の教育行政機関である市町村教育委員会が、市町村立中学校と都道府県立高等学校など設置者が異なる学校についても積極的な連携を推進し、地域における学校が一体となってお互いの教育機能を活用することが大切である。

 さらに、教育委員会と学校の役割分担についても各学校の事務・業務を軽減する観点から見直しが求められる。すなわち、学校の自主的取組に委ねるべきと判断される事務は学校に任せ、教育委員会は各学校ごとの対応では限界がある地域全体の教育課題に対応した施策の推進や先導的な研究や実践事例の提供、学校ごとの教育課題に沿った指導・助言等を重点的に行うなど、その施策や事業の実施の在り方等を工夫することが必要である。

 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。

 具体的改善方策

(学校事務・業務等に係る負担軽減)
 第1章2の具体的改善方策タで述べたように、国の行う調査統計については重複を避け、学校基本調査など真に必要なものに精選するとともに、各種の業務調査について廃止又は整理を進めること。また、都道府県、市町村が実施する調査統計についても精選に努めること。

 国、都道府県又は関係機関等による各種の業務の委嘱、照会事務の精選に努めること。特に、学校に対する作文コンクールや絵画コンクール等への参加依頼などのいわゆる持ち込み行事については、教育委員会において、一部の学校に過重な負担がかかることのないよう調整を行うなど、学校の負担軽減に配慮すること。

 授業時間内に実施する研修については、その実施主体である国、教育委員会、民間教育団体等において、可能な限り削減する方向で研修の実施の在り方を見直すこと。

 国、都道府県の研究指定校については、国、都道府県において、研究の趣旨・目的を踏まえ、先導的な調査研究を行うものと奨励的なものとを区別するとともに、今後先導的な調査研究に重点を移すなどして、その精選を図ること。

 各研究指定校においては、研究授業や発表会の在り方、研究集録のまとめ方等を工夫し、研究の進め方について抜本的な簡素・合理化に努めること。

(学校の事務・業務の共同実施)
 地域全体の教育力の向上を図り、多様な教育活動を推進するため、地域内の小学校、中学校、高等学校が共同して学校行事や野外体験活動、部活動などの教育活動を実施するなどの工夫を講じること。

 地域の状況や学校の実態に応じて、第3章2の具体的改善方策クで触れた教職員の兼務を積極的に推進することにより、地域内の小学校と中学校、中学校と高等学校など学校間の連携・協力を促進することに努めること。

 学校の規模や実態に応じて、学校事務を効率的に執行する観点から、特定の学校に複数の事務職員を集中的に配置して複数校を兼務させることや学校の事務を共同実施するセンター的組織を設置すること等により、学校事務・業務の共同実施を推進するための方策を検討すること。

(専門的人材の活用)
 養護教諭、学校栄養職員、学校事務職員などの職務上の経験や専門的な能力を本務以外の教育活動等に積極的に活用するとともに、学校教育相談や進路相談などの分野において学校内外の専門的知識を有する者を活用し必要に応じて校内の生徒指導組織等との連携を行うなど学校内外の多様な人材を積極的に活用する方策を検討すること。

 スクールカウンセラーやALT(外国人外国語指導助手)などが本務以外の学校の教育活動にも参画することができるよう、学校の職員として置くことができるようにするなどの工夫を講じること。

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