主題設定の理由
U 主題設定の理由
○ 現代における科学文明の急激な進歩は,インターネットの普及に見られるような高度な情報化 社会を生み出した。それにより大量の情報を得たり,発信したりすることが可能 となった。また,大量の情報に触れることは人々の生活や価値観に変化と多様化をもたらす一因ともなった。しかし,一方で膨大な情報に翻弄されたり,価値観の違いや疑似体験 の増加による人間関係の空疎化 につながったりする弊害も生じてきており,これらの変化は今後より激しくなっていくと考えられる。
このような社会でよりよく生きていくためには,単に情報を知識として蓄積するだけでなく,自らの目的に応じて必要な情報を選択し,その真偽を判断したうえで正しく理解し,それ をもとに自らの意見を持って表現できることが必要である。
○ 本校は,「心豊かに たくましく 自ら学ぶ 草小っ子の育成」を教育目標に掲げ,その実現に努めている。自ら学ぶ児童を育成するためには,自ら問題に気づき,それを進んで解 決しようとする姿勢を育成しなければならない。そのためには,問題について正しく理解し,判断するとともに自らの意見を持てる力をつけなければならない。また,問題に気づき, 解決できる力を身につけることは,これからの社会をたくましく生きる一助になるものである。
○ 本校は平成14年度より3か年文部科学省指定の学力向上フロンティアスクールとして算数科を中心に研究に取り組んできた。その結果として一定の成果を得ることができたが 文章問題における正答率が,他の問題に比べて劣る傾向が見られた。これは,文章問題の意味を十分に理解できていないためであると考えられる。また,国語科においても県基 礎学力調査等の結果をみると読解力の必要な領域の正答率は他の領域に比べ低くなっており,特に文脈に即して読み取る力が十分についていないことが分かった。そのため,文 章問題の読解力不足を補うことが大きな課題であると考えた。読解力は,算数科・国語科に限らず全ての学習において基礎・基本となるものであり,自ら問題に気づき,解決する ためにはなくてはならない力である。さらに「読む力を高めること」は,平成16年12月に行われた「生徒の学習到達度調査(PISA調査)」を受けて文部科学省が示した読解力向上 プログラムでも重点目標の一つとしてあげられている。
○ そこで,17年度より算数科を中心とした研究内容に加え,新たに国語科において児童の読解力を育てる研究にも取り組んできた。その結果,児童の読みに対する意欲が高まり 正確な読みができつつあるが,まだ十分とは言えない。そこで,本年度から3カ年の計画で,「確かな読解力の育成」を中核に置き,国語科を中心として研究を深めていくこととした まず,本年度は,国語科において説明的文章教材を通して確かに読み取る力を身につけさせるための教材分析の在り方や指導方法の研究を深めていきたい。また2年次は,国語 科において文学的文章教材を通して確かに読み取る力を身につけさせるための教材分析の在り方や指導方法の研究を深めていきたい。3年次は,読み取ったことをもとに自らの 考えを書いたり,意見を述べたりする力を育む指導へとつなげていくとともに,国語科以外の教科についても確かに読み取る力を育てていきたい。そのため,本主題及び副題を設 定し,研究を進めていくこととした。

