研究の概要


1 研究主題  
一人一人のよさを生かし主体的な問題解決の力を育てる“笠祇小の教育”の創造
 〜算数科における筋道を立てて考える能力の育成を通して〜 

2 主題設定の理由
  平成14年度より新学習指導要領が導入され、「授業が変わる、評価が変わる、先生も変わる、子ども達が変わる、そして学校が変わる」をキーワードに、新しい学校教育がスタートし た。
  今、我が国の教育は、まさに大きな改革、転換の渦中にある。
  このような時代の中で「生きる力」をはぐくむ教育の必要性が叫ばれており、主体的、創造的に生きていくために、平成8年に出された第15期中央教育審議会第一次答申の中でも「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力」の育成を重視している。
  本校においても、一昨年度から「一人一人のよさを生かし主体的な問題解決の力を育てる“笠祇小の教育”の創造」という主題のもと研究を進めてきた。
  1年目は、児童が自ら進んで、自分なりの方法で、自分なりの考えをもって、いろいろな工夫を取り入れながら問題解決の手順を計画し、見通し(仮説)を立てて、主体的・意欲的に問い続けていくといった、算数科の学習における基礎・基本の定着を図った研究を進めていった。2年目は、算数科における確かな学力の向上を目指し、マスタープリントの作成、個に応じた評価の在り方などを研究し、一人一人の実態に目を向けながら効果的学習法の手立てについて探っていった。
  その結果、成果として児童が課題解決に向かって主体的に追求していこうとする学習意欲の高まりが見られるようになった。また、ドリル学習やチャレンジタイム等のマスターの時間の成果により、計算を処理する力が高まってきた。
  しかし、文章問題等になると抵抗を感じる児童も少なくはなく、文章問題の題意を的確につかみ、その理解を通して解決の見通しをもったり、解決方法について自分から多面的に思考していくまでには至っていない。特に、問題の題意をとらえる際に、数値に表れている量は何なのか、尋ねられているのは何かをしっかりとつかむことが苦手で、問題場面のイメージの持ち方や演算決定がなかなかできない実態がある。したがってこの克服が本年度の重要課題であると考えた。
 そこで、本年度は、算数科の研究3年目として、昨年度までの研究を根付かせ、児童一人一人を更によりよく変容させていくために「算数科における筋道を立てて考える能力の育成」を研究の柱として進めていきたい。
 この研究を進めていくことにより、児童一人一人が、題意を正確に読み取り、きちんと理解した上で問題解決ができるようにしていきたい。また、豊かな読みを通して、文章のイメージ化を図り、内容を的確に把握してしていけるように、表現力の育成にも目を向けていきたい。このような学習を通して、学ぶことや考えることの楽しさをもつことができると考える。
 これは、本校及び串間市の教育の今日的課題となっている「自ら学び自ら考える子の育成」「基礎的・基本的な学習内容の確実な定着」、すなわち、「生きる力」をはぐくむことにつながると考え、本主題を設定し研究を進めていくことにした。

3 研究の仮説
仮説1
 児童一人一人の実態をつかみ、児童が適切に問題の読み取りをできるようにしていけば、筋道を立てて考える学び方が身に付き、学ぶ楽しさを持ちながら主体的な問題解決に取り組んでいくことができるであろう。
仮説2  学校の教育活動を通して、いろいろな場で見通しを持ちながら筋道を立てて表現していくことができれば、児童は多面的に物事を思考し、より確かな考えを持って学ぶことができるであろう。
 
☆主体的に:自分から進んで、自分なりの方法で、自分なりの考えをもって、いろいろな工夫を取り入れて、といった積極的な態度。
☆問題解決:児童が問題に直面し、自らの「問い」として解決の手順を計画し、見通し(仮説)を立てて、主体的・意欲的に問い続けていくこと。

4 研究内容
 @ 仮説1について
  ア 児童の実態把握
    ・ 児童の意識調査
    ・ 学力診断テストの分析と考察
  イ 個に応じた支援の工夫
    ・ 「読みとる力」「表現力」を高めるための指導法の工夫
    ・ 評価カードの見直しと活用
    ・ 個別指導の充実
  ウ チャレンジタイムプリントの見直しと文章問題の作成
  エ 教育機器の活用
 A 仮説2について
  ア 興味・関心を高める学習環境の充実整備
    ・ 算数コーナーの継続と見直し
    ・ わくわくタイムの設定と活動計画の作成
    ・ 読書運動の推進
  イ 表現集会・活動の実践
  ウ 保護者との連携
    ・ のびのびタイムやさんすうカードの継続と保護者との連携
    ・ 学力診断テスト後の保護者との教育相談及び家庭学習の在り方
    ・ 親子読書の推進

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