研究紹介


研究主題
確かな学力とコミュニケーション能力をもった児童の育成
〜鍛える授業と言語活動を通して〜
主題設定の理由
(1)時代の要請から
ゆとりの中で「生きる力」を身に付けさせることをねらいとした新学習指導要領が実施されて6年目を迎える。文部科学省や本県の「宮崎ならではの教育」の基本施策として、「学力向上」が大きく掲げられ、基礎学力の育成は学校教育の最優先課題となっている。
21世紀は、国際化、情報化、価値観の多様化など、子どもたちを取り巻く社会環境は、著しく変化している。また、言語能力の低下、言語の乱れ、人間関係の希薄化など、今後さらに悪化していくことが危惧される。
こうしたなか、子どもたちが言語能力を伸ばし、コミュニケーション能力を身に付けていくことは、お互いの立場や考えを尊重しながら生きていく上で重要である。さらに、コミュニケーション能力は、すべての学習や日常生活をより豊かなものにするという視点からも、重要であると言える。
(2)本校の教育目標及び児童の実態から
本校は教育目標として、「自ら学び、心豊かにたくましく生きる子どもの育成」を設定し、めざす児童像として「夢あふれる子・喜びあふれる子・感謝あふれる子」を掲げて、日々教育目標の具現化を図っている。
また、めざす学校像としては、「夢・喜び・感謝あふれる学校、安全な学校、信頼される学校」を設定している。特に、「信頼される学校」については、「精神的根がなく、保護者・地域の方々が行き来しやすい学校づくり」をめざすばかりでなく、「教え・育てるプロの教師集団がいる学校」として児童の学力向上をめざしてきた。そのために、「わかる授業」を展開し、鍛える場と個別に設定した目標に到達できる授業を組み合わせた指導法を確立していくことに力を入れてきた。また、児童の表現の場を多く設定することにも力を入れてきた。
本校の児童については、昨年度より取組んできた「鍛える授業」と「言語活動」の研究において、次のような成果を得ることができた。
○授業中に「鍛える場」(トレーニングタイム)を設定し、フラッシュカードや小テストを行うことで、児童の学習意欲が高まり、基礎学力の向上もみられるようになってきた。
○「指導カルテ」を作成することで、授業外での「鍛える場」(レベルアップタイム)においては、児童一人一人に応じた指導の手立てを工夫することができ、児童の学ぶ意欲が高まってきた。
○スピーチ集会などの取組から、すべての児童が人前で話すことへの苦手意識がなくなってきた。
○児童のスピーチ発表を録音し、「声の宅急便」として家庭に送ることで、学校と家庭の連携を深めることができた。また、児童の「称賛の場」ともなり、児童の発表への意欲がさらに高まってきた。
また、課題として、次のようなことが残った。
●小規模校・少人数の環境にあり、児童は多くの人と会話をすることが少なく、あらかじめ原稿を準備したり練習をしたりすると堂々と発表はできるが、初対面の方と接するときなどには、自信をもって積極的に受け答えをすることができない。
●学習意欲が高まり、学力は向上してきたと言えるが、基礎学力が十分に定着しているとは言えない。さらに、基礎学力の定着については、個人差が大きい。 それゆえに、自分に対して自身がもてない面が見られる。
このように、学習意欲や人前で話すことへの意欲が意欲が高まり、話し方の基礎・基本の定着はおおむねできつつあると言えるが、発表への自信を支える基礎学力の定着は十分ではなく、コミュニケーション能力についても十分身に付いたとは言えない。
(3)主題設定にあたって
昨年度までの研究「確かな学力とコミュニケーション能力をもった児童の育成」を継続するとともに、「力と自信をもった三椪っ子」の育成を図るために、三椪小の教 育環境を生かした本校ならではの教育活動を展開しつつ、本年度は次の視点から取組んでいくことにした。
@ 確かな学力を身に付けさせるために、一人一人を大切にした授業と鍛える場の工夫
  子ども一人一人を分析した指導カルテを作成し、その指導カルテをもとに授業づくりを行い、鍛える場の指導内容を研究する。
A 様々な言語活動を通したコミュニケーション能力の育成
  いつでもどこでも堂々と自分の思いや考えを発表できる児童を育成するために、発表の場づくりの工夫、表現力を育てる手立て、称賛や評価の工夫などについて研究する。
このような研究を通して、子どもたちは、基礎学力を土台にしてコミュニケーション能力を伸ばし、自信をもって諸活動に取組む児童に育つと考える。さらには、本校の教育目標である「自ら学び、心豊かに、たくましく生きる子どもの育成」に迫るとともに、「人間として、社会の中で生きていく力」の基礎をはぐくむと考え、本主題及び副主題を設定した。

三椪小学校へ戻る