校長のきまぐれエッセー10月

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 平成27年10月28日(水) [H27 bR4]
     「工業技術発表会のこと」

 工業技術発表会とは、県内の工業高校(本校、延岡工、日向工、佐土原、都城工)及び工業学科設置校(小林秀峰、日南振徳)の計7校に学ぶ生徒たちの、日ごろのものづくりにかかる成果を発表する大会で、大会名称や発表パターンなどは変われど今年で49回を迎える県内工業系高校の一大イベントです。
 発表内容は、ものづくりコンテストなどに向けて技術を高めていったり、ものづくりの成果を地域貢献に活かそうとするものなど実に多岐にわたるものです。
 今回は、県工業会が主催する県内ものづくり企業の展示・発表の場であるみやざきテクノフェアのイベントの一つとしての位置づけで、宮崎市佐土原にある県工業技術センターにて23日(金)の午後に開催しました。
 以下に特徴的な学校の発表内容をまとめてみます。
 @延岡工業高校においては、研究テーマ「エコなミニ植物工場を目指して」と題して、近年工業化への取組が進み始めた「植物工場」を校内の既存の施設を利用して製作し、安価に手軽に効率よく野菜生産を行ったという内容でした。
 A日向工業高校においては、研究テーマ「地域への貢献(テクノボランティア)」と題して、電気科で学ぶ生徒たちが実習や電気工事士などの資格を通して学んだ電気工事の技術を活かして、校内や地域で電気工事にかかる修繕をボランティアとして買って出ているという内容でした。
 B佐土原高校においては、研究テーマ「WROとものづくりコンテストへの取組について」と題して、工業系部活動である通信技術部において、おもちゃのレゴブロックを基本として製作した組み込みマイコン型ロボットに取り組んだり、工業高校に学ぶ生徒たちの全国的なものづくりコンテストの一つである電子回路組立競技に取り組むという内容でした。
 C都城工業高校においては、研究テーマ「国家資格取得とものづくりコンテストへの取組」と題して、特に電気技術部の部員が電気工事士(一種・二種)、電験三種、電気施工管理技術者などの国家資格に挑戦するという内容でした。
 D本校の分ですが、以前本ブログでもご紹介していたソーラーカーの国際レースで大快挙をあげてくれたチームにより「ソーラーカーレース鈴鹿におけるエネルギーマネジメントと走行パターン」と題して発表しました。
 結局、ソーラーカーとはどういうものでレース展開としてどのようにして取組み、全国で3位となれたのかを理系でない方にもわかるようなわかりやすい説明の仕方をした本校チームが、最優秀賞を獲得しました。
 工業高校で学ぶ学習内容もより高度なものになってきていますことから、工業技術発表会における発表内容もよりレベルを上げてきています。
 平成27年10月21日(水) [H27 bR3]
     「ものづくり日本における国産旅客機開発の行方について」

 先日ある会議の中で「国産旅客機MRJを世界の空へ!」と題して、このものづくり日本が、新型の国産旅客機開発に乗りだし、果敢に世界市場へ参入しようとしている現状について、三菱航空株式会社執行役員コーポレート本部長岩佐一志氏が講演されたので、かいつまんでご紹介しておきます。
 まず「MRJ」とはということですが、Mitsubishi Regional Jetの略で、平成20年に三菱航空機(株)が設立され開発に着手している国産旅客機のことです。MRJは、片道約3300kmの航続距離能力を持つとのことで、例えばパリから運航なら全ヨーロッパ、デンバーからなら全北米をカバーできるものです。民間航空機市場でいうと、乗客数200名から500名以上規模の航空機群をWideBody、100名から200名程度をNarrowBodyと称しますが、MRJは100名以下のRegionalJetと呼ばれる分野を狙っています。すでにこの機首群にはブラジルEmbraer、カナダBombardier、ロシアSukhoi、中国COMACなど開発ライバルも多いとのことです。
 それでは、開発に踏み切った経緯についてですが、現在民間航空機は世界中で19000機程度運行していますが、2030年ころには39000機程度にまでになるといわれています(中国や途上国の需要が大幅に増すためとされます)。RegionalJet分野においても今後5000機の需要が見込まれているそうです。日本は先の大戦を機に、航空機産業に携わる技術者が減少していきましたが、朝鮮戦争などを機に米軍機の修理などにより技術を蓄積してきました。その後、ボーイング社製航空機のボディーをはじめ多くの部分・部品を製造してきたという実績はありますが、これは所詮構造一次下請けでしかありませんでした。現在の日本の産業構造において、自動車産業は50兆円規模のものであるのに対して航空機産業は1兆2千億円程度とまだまだ規模が小さいそうです。製造を人手に頼ることの多い航空機業界においては、今後賃金の安い下請け業務を途上国などが狙っていることが予測される中、下請けのみでは日本の航空産業は伸びないと目され、実際に国産の航空機生産に取り組むべきという流れになってきたようです。日本が独自の旅客機を開発するのはYS-11以来実に約40年ぶりだそうで、技術者の間では長年待たれた巨大プロジェクトです。
 MRJの売りとは、「環境に良い(離陸時における低騒音、低二酸化炭素排出:これまでより20%減)」「快適な客室環境」「優れた経済性」と、現在の諸外国の同型機の中では一番優位性を誇っているようです。
 また、航空機の開発にかかる技術は最先端のものばかりで、その他の業種(宇宙産業、燃料電池、複合材、GPS、空気力学)への波及効果が大きいことから、日本の製造業の勢力図を大きく変えていくもののようです。
 今後は、世界の民間航空機ビジネスにより深く参入するための「人材づくり」が使命となってくるようで、工業高校にもその一端を担ってほしいという熱いメッセージもいただきました。
 平成27年10月14日(水) [H27 bR2]
     「マイコンカーラリー競技宮崎県大会のこと」

 マイコンカーラリー競技とは、工業高校にさまざまにある、例えばロボット競技などの技術系競技の一つで、10月10日(土)に佐土原高校において県大会が行われました。
 マイコンカーとは、マイコンR8ボードを搭載し、センサーで路面の白線を感じ取りながら、プログラミングにより自走する手作りカーのことで、ものづくりという観点からは車体の製作、マイコンボードの電気回路作製、プログラミングにより違いが出ます。
 競技は、基本的にマイコンカーが約50mのコースを完走したタイムを競うもので、車体の種類によって2種類の競技があります。
 B:ベーシッククラスと呼ばれる、使用できる部品などに制限のある基本規定に沿って製作された車体で、初めて参加する高校生のためのクラスです。
 A:アドバンスクラスと呼ばれる、ある程度部品を替えたり、チューンナップの可能な車体のクラスです。
 県全体では、Bクラスに19台、Aクラスに44台の計63台がエントリー出場し、本校からは、Bクラスに3台、Aクラスに9台の計12台出場でした。
 タイムの上位車体は、Bクラスで4台、Aクラスで21台が宮崎県の出場枠として指定され九州大会に進めることになっています。
 県のレベルは全国の中でもレベルが高く、Bクラスでは、本校は最高で惜しくも入賞できず九州大会をのがしました。
 Aクラスでは、21位内にようやく2台が入り、九州大会につなげることができました。
50mのコースをBクラスでも24秒台、Aクラスになると13秒台で疾走するというレベルで、早く走らせてもカーブで脱輪したりして完走できない車体もあり、生徒たちは苦戦していました。
 出場台数の割には九州大会という上位大会に行ける台数が少なく残念な結果でしたが、生徒たちのひたむきに黙々と打ち込む姿そのものは、声をかけるのもはばかられるほど真剣なものでした。
 平成27年10月7日(水) [H27 bR1]
     「定時制・通信制生活体験発表会及び文化の集いのこと」

 タイトルにある会は、正式には「定時制・通信制つながる夢支援事業 平成27年度宮崎県高等学校定時制通信制生徒生活体験発表会及び文化の集い」(略すときは単に生活体験発表会)と言い、この10月4日(日)に開催されました。
 本ブログ7月8日付けナンバー17において、生活体験発表会の校内選考会を兼ねた校内発表会を6月26日(金)に行い、本校の代表として「未来を失った記憶」と題し、電気科3年の富山君が選考されこの県大会に出場を決めたことを書いていましたが、今回はその県大会の様子を紹介いたします。
 いわゆる県内大会において出場できるのは対象校5校ですが、延岡青朋高校の定時制と通信制、富島高校の定時制、宮崎東高校の定時制夜間部と定時制昼間部と通信制、本校定時制、都城泉ケ丘高校定時制の計8課程から代表1名ずつの計8名が参加しての大会でした。
 以下に本校富山クン以外の数名の生徒の発表タイトルと内容(骨子)を簡単に紹介しておきます。
 延岡青朋高校の通信制生徒のタイトル「今、高校生」、内容「大勢の前で自分の過去について赤裸々に話すことには躊躇感もあり、昔なら考えられなかった。2年前、全日制の高校に入学するものの周囲と馴染めず不登校となり自暴自棄になったが、現在の高校の門をたたき素晴らしい教師に出会ううちに自分の人生を受けいれ、今は何か人のためになる職業に就きたいと考えている。」
 都城泉ケ丘高校の定時制生徒のタイトル「Anser is near」、内容「岡山に暮らしていたが、小さいころ父親のアルコール依存症がもとで両親は離婚。中2のころ、看護師をしていた母親がガンで他界。身寄りが都城市の祖父母しかいなく、当校に入学する。惑いの多い見知らぬ地での生活であったが、学校では生徒会に立候補などして充実した学校生活を送っている。将来は、警察官になりたいと日々問題集と格闘している。」
 宮崎東高校の定時制夜間部生徒のタイトル「脱却」、内容「小さいころ、父親のアルコール依存症のお蔭で、暴力を振るわれ逃げ回っていた。父親はそのままアルコールに溺れ他界した。その父親の存在のために、家族は好気の目にさらされ自身は学校で暴言や暴力などの差別を受けていた。そのおかげで不登校となったが、母のためにも弱い自分から脱却したいと現在の高校に入学した。いまは苦手なことにも逃げずに取り組めるようになった。」
 自分の置かれている不遇な境遇を跳ね除け、真っすぐに人生を生き抜いているそのものに感動しない人はいません。
 彼らを心から応援してやりたいと思いましたし、命の洗濯という言葉がありますがまさにそんな時間を過ごせました。
 発表会のあとは、宮崎公立大学吹奏楽部の演奏と本県デュオ「スピリット」による歌の披露などあり、充実した一日でした。
 平成27年10月1日(木) [H27 bR0]
     「平成27年度定時制前期クラスマッチのこと」

 本校の定時制は、前期・後期と2学期制をとっており、先週の9月25日(金)に前期の終業式を迎えました。
 全日制の高校が3学期制をとっていて、夏休み明けと同時に2学期が始まるというような季節に合わせる区切りではなく、単位制である定時制では、科目の認定を前期・後期ごとに行っているからです。
 さて、学期が終える時期というのは、全日制・定時制問わずだいたいどこの学校もそうですが、授業ではなく特別活動であるクラスマッチなどが一般的に行われるのです。
 本校の定時制においても、終業式の前日の9月24日(木)に「前期クラスマッチ」が開催されました。
 生徒会長の富山翔登くんがあいさつの中で「特に4年生は、あと一回後期にもクラスマッチがあるけれども、競技としてのバレーボールは最後になりますので楽しんでやりたい。」と語ってくれたように、定時制の生徒にとっては思い出作りとでもいうべき一大イベントであって、全生徒たちが楽しみに待っていたのでした。
 種目は、6人制のバレーボールで、機械科、電気科、建築科3学科の1年から4年までの12チームに加えて職員チームも加わり、夜間の本校体育館は熱気に包まれていたのでした。
 話は、変わりますがこんなクラスマッチという状況では、普段なかなか話さないようなクラス内や学科の先輩後輩どうしが心安くなれる雰囲気があります。
 私も近くにいたある生徒たちにフラッと話しかけてみると、「実は、ぼくこの前あったある大会で、ビル清掃部門で県2位になったんですよ」とか「昨日は勤めている会社で、今朝方まで残業でいまちょっと辛いっすね」などという生の声を聴くことができました。 定時制の生徒たちも、昼間の仕事での大変さや辛さもひとまずおいて、それぞれに楽しんでいました。