平成22年度入学式、校長式辞 校庭に新緑が芽吹き、花咲き競う今日の佳き日に、多数のご来賓のご臨席を賜り、新入生の皆さんと保護者の皆様方をお迎えして、ここに宮崎県立宮崎大宮高等学校の平成22年度の入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。 ただ今、本校への入学を許可されました448名の皆さん、入学おめでとうございます。 本校の職員、在校生一同、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたします。また、保護者の皆様には、これまでのご養育のご心労をねぎらい申し上げますとともに、お子様の本校への入学を心からお祝い申し上げます。 本校は、本県で最も長い122年の歴史と伝統を持つ学校であります。この間、4万6千5百余名の方々が、この学舎を卒業され、県内はもとより国内外の各界、各方面で活躍されておられます。現在も、伝統の「自主自律」「質実剛健」の校風のもと、知・徳・体の調和のとれた人間への成長を目指して、「真理を探り、美にあこがれ、体を鍛え、善を行う」真摯な取組みを日々、生徒、職員が一丸となって展開しております。 新入生の皆さん、どうか一日も早く本校の生活になじみ、厳しい入学試験を突破して、晴れて本校へ入学した喜びと将来に向かっての期待を胸に、本校の伝統を引き継ぎ、歴史の新たな一ページを刻む主役としての自覚をもって、はつらつとした学校生活を送ってください。 ここで、入学にあたって、皆さんに二つのことを期待します。 一つは、柔軟さ、幅の広さを身に付けてほしいということです。 バンクーバー冬季オリンピックにつづき、野球やバレーボールなどの全国高校選抜大会において、数々のドラマが展開されましたが、スポーツにおいて、日本は、個人種目に比べてチームプレイの種目が、チームプレイの中でも、野球型に比べてラグビー型の種目が世界で苦戦しています。 これは、どうしてでしょうか。体格の差やコミュニケーション力の差を指摘する人もいますが、それだけではなさそうです。ラグビー型は、一応のポジションや役割はありますが、一旦ゲームが始まるとボールの奪い合いで、頻繁に攻守が入れ替わりポジションも乱れます。監督の指示はほとんど届かず、選手はそれぞれが、個々の洞察力と瞬間的な判断力で移り変わる状況に臨機応変に対応しなければなりません。スポーツに限らず、日本人は、そのような面が弱いと言われています。 いま、社会は、少子高齢化、グローバル化、高度技術化・情報化などが進展し、様々な課題が顕在化しています。社会のこのような急激な変化は、今後も続き、ますます先の読みにくい時代になっていくと思われます。皆さんは、そのような社会を中心になって担わなければなりません。そこで求められるのは、柔軟な視点、発想で物事をとらえ、思考・判断して、自主的に臨機応変に対応する力です。 これから3年間、このことを意識し、パターン化を脱して、思考の柔軟さや幅の広さを身に付けるために、いろいろな場面で物事をとらえ、考えをまとめるとき、「角度を変えれば、少し違って見えるのではないか」「木を見て森を見ずになってはいないか」「そもそも何が問題なのか」などと自らに問い返し、常に多面的に物事をとらえ、考えてください。 二つ目は、自分の可能性を探求しつづけてほしいということです。 皆さんは、それぞれ、将来の夢や目標をもって本校に入学し、今、その目標達成に向けた決意も新たにしていることと思います。自分の立てた大きな志の実現に邁進することは大変すばらしいことですが、一方では、常に「まだ見ぬ我」を追い求める姿勢も大切です。皆さんの今の夢や目標は、今の自分の興味・関心や趣味・特技を反映しています。しかし、自分のことは、自分が一番よく解っているつもりでも、意外に、気付いていない面や潜在能力があるものです。また、まだ出会っていない世界があるかもしれません。 宇宙飛行士の毛利衛さんは、47年前、北海道の高校一年生の時に、北海道東部でしか観測できなかった、前回の皆既日食を幸運にも見ることができ、真珠色のコロナが何度も夢に現れたといいます。それが宇宙飛行士になるきっかけになったのです。 また、一昨年、ノーベル物理学賞を受賞された小林誠さんは、高校時代にアインシュタインとインフェルトが書いた岩波新書の「物理学はいかに創られたか」という本を読み、物事の原理を考えるのが面白いと感じて、物理学に進むことになったといいます。 身近なところでは、本県出身で、今大活躍されている俳優の堺雅人さんや温水洋一さんは、高校で演劇部に入部したことが、俳優としての出発点になっています。 皆さんも、まだ、これからどんな世界に、またどんな自分に出会うか分かりません。これから3年間、教科の学習だけに汲々とすることなく、部活動や生徒会活動、ボランティア活動などの諸活動に積極的に参加し、また幅広い読書や多くの人たちとの交流などを通して自分の潜在力を発見し、磨きをかけて、自分の進むべき道を探求してください。
保護者の皆様に申し上げます。 私たち宮崎大宮高等学校の職員98名は、引き受けた生徒一人ひとりを大切にし、必ずやその持てる力、可能性を引き出し、最大限引き伸ばして、それぞれの自己実現を支援します。子どもたちが、これからの社会を支え、未来を切り開いていく、たくましい若者に育っていくことは、保護者の皆様と私たち職員の共通の願いであり、社会の願いでもあります。この願いの実現のためには、家庭、学校、地域がしっかりスクラムを組むことが不可欠であります。保護者の皆様の本校教育方針、教育活動に対するご理解と絶大なるご協力・ご支援をお願いいたします。 終わりになりましたが、ご来賓の皆様には、ご多用中のところご臨席いただき、誠にありがとうございました。今後とも、本校に対するご理解とご協力・ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、式辞といたします。 平成二十二年四月九日 宮崎大宮高等学校 校長 黒木 正彦
Modified : 2010-06-04
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