企業と連携したリサイクル推進事業

 今年度、宮崎県教育委員会が環境教育の充実のために取り組んでいる「企業と連携したリサイクル活動推進事業」の環境教育推進校に指定されている。これをうけて、本校ではリサイクルの視点を取り入れた地元企業の活動や、循環型社会の在り方を生徒に学習させ、環境問題に対する生徒の関心を高めさせる取り組みを行っている。

目的  大量消費・廃棄の生活を見直し、新たなライフスタイルを考察させる
対象  探究科学コース1年
日時  12月4日(木)、12月9日(火)、12月11日(木)
場所  大会議室、王子製紙株式会社日南工場


【学習の概要】
 宮崎大学工学部の土手教授の講義では、環境問題(温暖化・酸性雨・森林消失・公害)の解決には、企業・行政の連携、関係法の整備、国家レベル・地球レベルでの取り組みが必要であると同時に、一人一人が日常的に「Reuse Recycle Reduce」を意識し、環境に配慮した生活を送ることが重要であることを学んだ。
 京屋酒造の渡邊氏の講義、王子製紙日南工場の見学では、環境に配慮した地元企業の取り組みを学んだ。 焼酎の生産過程で出る焼酎粕は、かつてはそのまま海洋投棄されていたが、現在では自社(京屋酒造)や王子製紙日南工場の施設で浄化しており、海洋・河川を汚染しない環境に優しい焼酎造りが可能になっている。 また、京屋酒造では焼酎粕を牛糞と混ぜて堆肥にし、甘藷の有機栽培に活用している。 農薬を使わずに栽培された甘藷を原料に、人に優しい安全・安心な高付加価値の焼酎造りを行っている。
 王子製紙日南工場は、焼酎粕の浄化だけでなく、他にも多くの環境活動に取り組んでいる。 回収した廃タイヤ・木クズ・汚泥を廃棄物ボイラーで燃やし、発電することによって、廃棄物の有効活用と重油に頼らない省エネ発電を実現している。 他に、使用済み割り箸や古紙を材料とした再生紙の生産、ダイオキシンの害を避けるために塩素漂白からオゾン漂白への転換などを行っている。 また、現在、約80億円をかけて建設中のバイオマスボイラーが完成すると、木クズなどを燃料に、約4万世帯分の発電が可能になる。


日時
 平成26年12月4日(木)14:40〜16:10
場所
 日南高等学校大会議室
講師
 宮崎大学工学部社会環境システム工学科
 教授 土手 裕 氏
 
講義内容
 循環型社会の在り方等の環境に関する講義

【 宮崎大学工学部の土手教授の講義 生徒の感想 】
 循環型社会や環境問題については、中学校の社会科で学んではいたけれど、その定義や原因についてさらに深く
 知ることができた。私はリサイクル率を上げるのが大事だと思っていたけれど、そうではなく、廃棄物の発生自体を
 抑制するのが最優先だと聞いて、なるほどと思いました。

 環境保全に関しては、「京都議定書」くらいしか知らなかったが、社会には既に無駄を減らすシステムが構築されて
 いることを知ることができた。

 驚いたのは、日南市のゴミの排出量が全国平均を上回っているということです。このゴミ問題を1人1人が意識して
 解決していく必要があると強く感じました。


日時
 平成26年12月9日(火)14:40〜16:10
場所
 日南高等学校大会議室
講師
 京屋酒造有限会社
 代表取締役 渡邊 眞一郎 氏
 
講義内容
 リサイクルの視点を取り入れた地域の産業の在り方等に関する講義

【 京屋酒造の渡邊氏の講義 生徒の感想 】
 1本の焼酎を造るのにいろいろな工夫や手間がかかっていて、驚きました。微生物を使う、堆肥にする、アイガモを使う
 というやり方は、コストはかかるけれど、環境に優しく、将来のことを見据えている良い方法だということがわかりました。

 高いプライドとたくさんの「こだわり」をもって焼酎を造っているということがわかりました。また、日南市や王子製紙と
 協力していると知り、驚きました。次回は王子製紙に行くので、焼酎粕の処理の様子を見てみたいと思います。

 無農薬で原料を栽培したり、焼酎粕をリサイクルしたりすることで、自然に優しい価値のある商品を作っていることが
 分かった。企業も地球に優しくすることを考えて活動していることを知りました。


日時
 平成26年12月11日(木)14:50〜16:00
場所
 王子製紙株式会社日南工場
内容
 環境保全・リサイクルに関連する工場施設の見学

【 王子製紙日南工場の見学 生徒の感想 】
 自分の予想以上に環境に配慮した取り組みをしていた。環境保全という観点から工場を見学したことで、王子製紙の
 イメージが一変した。自分も環境に関する研究をしてみたいと思った。

 王子製紙のリサイクルの仕組みに感心した。特に廃棄物ボイラーが化石燃料を一切使わないことには驚いた。
 王子製紙が環境に配慮した事業を進めている事を知り、大企業は社会を良くする責任を負っているという社会の授業
 を思い出した。

 使い終わった割り箸4本で、A4サイズの紙1枚ができると聞いて驚きました。私たちは飫肥小で実際に割り箸を回収
 する活動を行っていたので、その時のことを思い出しました。前回の京屋酒造の方のお話とつながる部分もあって
 勉強になりました。


【担当者のまとめ】
 日南市を含む県南地区は甘藷の栽培・畜産業・焼酎造りが盛んであり、王子製紙では紙が生産されているということは知っているが、それぞれの生産活動がどのように関わり合っているのか、地元企業が環境問題にどのようなアプローチをしているのかは知らない。 また、環境問題が現代社会の抱える大きな課題だということは知っているが、それを身近な問題として捉える視点は持っていない。 これが今回の活動を始める前の本校の生徒たちの地元企業や環境問題に対しての認識である。
 感想文を読むと、今回の活動を通して、自分たちの日常生活・地元企業の活動・環境問題が密接に関わっていることを多くの生徒が理解できたようである。 また、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会ではなく、出来る限り無駄をなくし、資源やエネルギーを循環させていくことができる社会を目指さなければならないという意識も持つことができたようである。
 日南高校の生徒たちが、今回の活動で学んだこと・気づいたこと・考えたことを活かして、将来、人間と自然が調和できる社会、環境に配慮した社会の実現に貢献してくれることを期待したい。