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学校便り 5月号 【I,Fujimoto】 |
〜その少年は「ヨシちゃん」と呼ばれていた。生まれたのは山奥の小さな集落。生ま
れた時、ヨシちゃんの足は曲がっていた。頭は水痘症のように腫れて柔らかく、眼球は安定せず、乳を吸う力もなかった。田舎の病院では病名が付けられず、骨のもろさから幼少期に骨折した回数は30回近くに及んだ。小学校に入る頃わかった病名は「先天性骨形成不全症」という原因不明の難病。しかし、そんなヨシちゃんには大人も驚くような歌の才能があった。そのうまさは誰もが賞賛し、村祭りや宴会ではスターだった。
ヨシちゃんは養護学校に入学し寄宿舎生活を始めたが、小学4年生頃に地元の小学校への転入が認められた。その後、入退院を繰り返しながらも、高等部3年にもなると随分元気になり、音楽大学進学も現実のものとなった。そしてその後、日本を代表するカウンター・テナー歌手として脚光を浴びることとなる。〜
これは、宮崎駿監督の「もののけ姫」の主題歌を歌って有名になった『米良美一』さ
んの話です。でもこれには続きがあります。脚光を浴びた後、成功の幸福感も感じず極度のスランプに陥ったそうです。そして、あるきっかけでそこから脱した後に、こんな言葉を残しています。
「でも、こんな体に生まれてきたのは、もしかしたら、僕自身が昔、『神様、今度生
まれ変わるときは、あえて重い障がいを背負って、そして土方をやっているような両親に生まれてみたいです。そういう中で僕は親に孝行し、幸せを掴んでみせます。それが僕の魂を鍛えるのに一番いいと思いますから』と願ったんじゃないかと思っているんです。そしたら自分の人生、恨めませんよね。むしろ今はこの体、そしてこの自分を、心から愛しく思えるのです・・・」
わかあゆ高千穂校の新学期が始まって1ヶ月が経とうとしています。生徒達は、思春期を迎えいろいろと悩み多きながらも毎日元気です。職員は2名が入れ替わりました。すでに、心地よい新しい風が吹き始めています。
私は現在、特別支援教育の奥深さと難しさを、スタートした昨年の4月以上に感じています。いつも職員7名が顔をつきあわせて「あ〜でもない・こ〜でもない」と考えて
います。もちろん、人の気持ちや心など見えませんので、私達も正面から受け止め、ぶつかっていくしかありません。一番嬉しいこと、それはやっぱり「笑顔」です。
さて、米良美一さんの話を読んで、皆さんは何を感じましたか。どんな思いがこみ上げてきますか。さあ、今日も張り切っていきましょう!!
参考文献:日本一心を揺るがす新聞の社説 水谷もりひと 著
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