小田原さん

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馬たちの命を守るために・・・
(春)
春は馬たちの出産の季節です。初めて出産をする馬は、生まれた子馬の世話に慣れていないこともあるので、出産20日前から分娩(ぶんべん)所(お産をさせる場所)へ連れていきます。出産後2週間から20日ぐらいまで分娩所に入れておき群れへ返します。
初めて出産する馬以外は、自然に出産させますが、生まれた子馬が山から転げ落ちないかとても神経をつかって観察します。生まれてきた馬は馬籍簿(ばせきぼ→1頭1頭の馬に番号をふり管理する帳簿)をつけます。
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採血している様子

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(初夏)
馬につく「ダニ」を駆除(くじょ)し、新しい馬に管理用の番号を焼き印(やきいん)します。
また、宮崎大学から来られた先生方が馬の血をとって健康状態を調べられます。この作業をするため2日間かかって馬たちを柵(さく)の中に追い込みます。たくさんの人数で岬中の馬たちを追い込みますが、とても大変な作業です。 |

御崎馬のお世話をされていらっしゃる小田原さん
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(春〜秋)
10月ぐらいまで、馬たちは広い野原(岬の下の方)で生活します。馬たちが食べる草がなくなってくると、どんどん岬の上の方へ登っていきます。
この時期は、馬たちが食べる草を絶やさないように草の手入れをしたり、馬の食べない草を刈り取ったりします。
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(冬)
馬たちは、危険な海岸の方へ移動して生活をするので、崖(がけ)から落ちていないだろうか、けがをしていないだろうかと私たちも必死になって馬を探しまわります。海岸の方は切り立った崖(がけ)がほとんどなので私たちも命がけで活動します。
[馬たちの世話をしていてつらいこと]
心をこめて自分の家族のように世話をしているので、この仕事をしていてつらいと感じたことはありませんが、馬が死んでいたのを発見した時には、なんとも言えない悲しさがこみあげてきます。
死んだ馬はていねいに土葬(どそう)します。 |
[馬たちの世話をしていてうれしいと感じたこと]
なんと言っても、馬の親子のふれあいを見たときですね。生まれて間もない赤ちゃん馬はよく昼寝をします。その時に親馬が群れと一緒にしばらく赤ちゃんから離れる時があります。昼寝から覚めた赤ちゃん馬が親馬を探して懸命(けんめい)に「いななき」をします。人間である私からすると馬の「いななき」はどれも同じように聞こえるのですが、親馬は自分の子どもの「いななき」を聞きつけるとすぐに子どものところへ戻り、優しく世話をします。
親子の情の深さに心うたれる一時です。 |
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[みなさんへ]
御崎馬は本当に自然の中だけで生きています。
むやみに近づいたり、さわったり、えさをやったりすることは、絶対にしないでくださいね。私たちでも馬へさわることや近づくことはめったにしないのですよ! |