平成23年3月1日、日南工業高校は48年の歴史に幕を下ろし、 新しい総合制専門高校「宮崎県立日南振徳高等学校」に引き継がれました。 宮崎県立日南工業高等学校 本文へジャンプ
学校長挨拶

第19代校長 川井田 和人

 日南工業高校が、この3月で48年の歴史に幕を閉じます。昭和38年4月1日に機械、電気、工業化学科の3学科各2クラス260名余りでスタートして以来、8200名を超える卒業生を世に送り出してきました。
 昭和30年の後半から40年の初めに設立された高校は、多くがマンモス化した学校の分離によって創設されていますが、日南工業高校は『高度経済成長』の中、社会のニーズに応えるべく新しく誕生しました。創立当初は校舎も無く、入学式は日南高校の体育館を借用して行い、同校の老朽化した校舎で学び、6月になってようやく現在の地「板敷」に、職員・生徒全員で引っ越しを行ったということを過去に発刊された記念誌で知りました。新設校という不自由の多い中でスタートし、本校の基礎を築かれたのかと思いますと、御苦労が偲ばれるとともに、感謝の言葉もありません。
 『科学技術によって作り出されるものが、真に人間の幸福につながるものであるか否かを考える能力や態度を培うことこそ、根本的に大事なものでなくてはならない。』という初代野邊宗輿校長先生の考えに立って、いかに科学技術は発達しようと工業の根底はやはり人間の心であるという『工業も人なり』という本校の理念が定まりました。
 この理念に基づき、校訓『誠の道、学びの道、技術の道』が平成5年に定められ、今日まで脈々と息づき、引き継がれてきています。
 その間、部活動では野球、サッカー、バスケット、レスリング、ヨット等が全国的な活躍をしています。また、電気工事士やボイラー技士の資格試験での高い合格率、ロボット製作、マイコンカーラリー、東屋製作など専門の知識を活かした取り組みも新聞等で紹介され、多くの人たちから高く評価されています。学科数等については、社会のニーズの変遷により、建築科や生活工学科を新設しましたが、日南地区に少子化の傾向が強まり、昭和56年1学年5クラス、平成15年4クラス、平成16年3クラスとなり、現在の機械、電気、建築環境科の3学科3クラスとなっています。
 これまで卒業生の方々が過ごされた校舎は、「宮崎県立日南振徳高等学校」に引き継がれます。本校で学んだ青春の3年間を振り返り、良き邂逅の場であった原点を確かめる場所として、本校のメモリアルルームに思い出の資料を永く残します。全ての卒業生の方々には一度は訪れていただき、高校時代を思い起こし、友と語り、今後の人生において励ましの場になれば幸いと考えております。
 終わりに、開校から閉校までの約半世紀にわたり、本校を支え、本校生徒を慈しみ育てていただいた地域の皆様、御指導御支援をいただいた県教育委員会、歴代校長はじめ旧職員、卒業生の皆様の御努力に敬意と感謝の意を表し厚くお礼を申し上げます。そして、日南工業高校の精神は、新しき日南振徳高校が継承し、更に発展させてまいることを、ここにお誓い申し上げるとともに、本校に集われた全ての方々のますますの御健勝と御活躍を祈念いたして閉校に寄せる言葉とします。

平成23年3月1日