宮崎県立日南振徳商業高等学校
Nichinansintoku Commercial High School
平成22年度(閉校1年前)スローガン [平成23年3月閉校]
未来に残そう 伝え築いた 振徳商業 目指せ 三種目 日本一!
校長挨拶 学校沿革 教育目標 経営方針 校長室だより 学校評価
表題を『日南振徳商業高校』と振徳商業の部分を強調したのは本校が高校再編整備計画により2年後(平成23年3月)、41年の歴史に幕を閉じるにあたり、『振徳商』のことを少しでも多くの人に知って戴こうと思い、この紙面を借りて歴史や校風なりをPRさせてもらおうと考えたからである。
 校名の「振徳」の文字は、旧飫肥藩学問所「振徳堂」の教えを受け継ぐためにその名を戴いたものである。学校は、日南市のほぼ中央に位置し、前に酒谷川、後ろに広渡川に挟まれた丘陵地(殿所(とのところ))にある。すぐ横には日南総合運動公園があり、民家の隣接もない教育に恵まれた環境である。また、県内で初となる電子計算機(汎用機)が設置されるなど商業教育の先駆的な役割を担い、南那珂地区における唯一の独立商業高校として、多くの優秀な人材を県内外に輩出してきた。
 商業に関する資格取得率においては、近年、県内はおろか全国においても上位の実績を維持し、公務員の合格者数についても、全国でも有数の実績を挙げてきている。
 生徒は、来校された方が驚かれるほどの立派な挨拶ができ、風紀面においても、他で見られるスカート丈の短い生徒やシャツだし腰パン等をしている生徒はほとんど見ることはなく、「挨拶の振徳、風紀の振徳、美化の振徳」の振徳商スローガンが息づいている学校である。そのため、地域や保護者から高く評価されており、生徒も『振徳商』の生徒であることに誇りを持っている者が多い。
 この伝統はどこで培われてきたものであろうか、ひょっとすると学校経営のヒントがあるかもしれない。そのような視点からみると、それは、上級生から下級生への指導ではないかと考えている。3年生が計画を立て、まず見本を見せ、それを後輩に伝えていく伝統ができている。特に印象的であった二つの行事を紹介したい。
 一つは新入生が入学してすぐに行われる宿泊研修(2泊3日)である。この宿泊研修に3年生を中心とした生徒会役員と部活動の部長がついて行き、彼らが中心となって、校訓から校歌、挨拶の仕方、行進、清掃、寝具及び食事等の整理や片付けまでの全てを教えている。教師がかかわることは事前指導を除いてほとんどない。まずはここで、本校で学んでいく姿勢が培われるものと感じる。
 二つ目は、体育大会である。たぶんどこの学校も団長をはじめとするリーダーが中心となって、団員をまとめていくのが普通だと思うが、本校では3年生全員と1・2年生のリーダーが中心となって団をまとめていくのである。つまり、3年生全員とリーダーが一緒になり、団発表のダンスや応援の演技等を創り上げ、それを下級生(1・2年生)に教えていくのだ。それと併せて、行進の仕方や団技等の作戦まで教えているため、全体が実に機微機微として統率ある行動につながっているのである。
 このように『振徳商』を創ってこられた歴代校長以下、関係された先生方に頭が下がる思いがしている。課題はむろんあるが、幕が閉じるまで、教職員、保護者、地域と一体となり、この『振徳商』の魂を、火種のように生徒の心中に受け継がせていきたいと考えているところである。
 機会がありますれば、閉校なる前に生徒を見に来て御指導・御声援くださると有り難く存じます。

平成20年5月