現代の社会は、国際化や情報化、少子化など様々な面で大きな変化が続いており、年々その厳しさを増している。地方では、就職先が見つからず、若者がふるさとから離れ、大都会に集中するといった、過疎化・高齢化が大きな問題となっている。また、自然体験や社会体験の減少、人間関係や規範意識の希薄化という課題も山積し、学校 と地域が手を取り合う環境づくりが求められている。
中央教育審議会答申(平成20年1月17日)では、「このような社会において自己責任を果たし、他者と切磋琢磨しつつ一定の役割を果たすためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見出し、解決するための思考力・判断力・表現力等が必要である」と示している。平成20年度改訂の学習指導要領では、これらの中で、基礎的・基本的な知識・技能と思考力・判断力・表現力等をバランス よく身に付けさせることを重視している。
また、急速に進むグローバル化に対応し、国際社会でも活躍できる人材を育成していくために、平成28年度より小・中・高等学校の学習指導要領が全面改定される見通しである。英語や歴史教育を強化し、東京五輪が開催される平成32年度の完全実施を目指している。
本校は、小学生と中学生が同じ校舎で学ぶ併設校である。小学生にとっては、中学生とともに学ぶことで中学生を身近な目標とするとともに、中学生から学んだことを学習や生活に生かそうとする力を高めることができる。また、中学生にとっては、小学生と活動することで、思いやりの心や手本となろうとする意識が高まり、これまで培ってきた知識を活用する力をより伸ばすことができる。教師にとっても、小学校入学から中学校卒業までを見通した教育実践ができることで、小中一貫した指導が可能となり、教師の授業改善や小・中学校が連携した教科指導が充実する。
このような社会の要請や本校の特性を踏まえ、平成25年度より2年間、学力向上を図るために、小中連携した教科等指導の工夫と改善を行ってきた。しかしながら、今後さらに学習の基礎的基本的な内容の確実な定着を図るためには、児童生徒が主体的に学ぶ力を育てていく必要がある。
自ら主体的に学び、考え、表現し、将来生きていく力を備えた児童生徒の育成を図ることは、児童生徒がこれからの社会を生きぬくために、学校教育が果たさなければならない重大な責務である。そこで、本年度の研究においては、アクティブ・
ラーニングの考え方を基に、総合的な学習の時間を中心として思考ツールを活用し た様々な 取組を行い、ふるさとに対する思いを深めるとともに、主体的に学ぶ児童生徒の育成
を目指していくこととした。総合的な学習の時間と他教科との有機的な関連を重視し、 前年度までの研究を生かしながら本研究を推進していく。また、ふるさと教育を柱の
一つとした総合的な学習の時間を計画し、単元指導計画
を作成したり、目指す児童生 徒像を明確化したりすることは、本校の学校教育目標『ふるさとに誇りをもち、生き る力を身に付けた児童生徒の育成』の具現化に つながると考え、本主題を設定した。
ふるさとに誇りをもち、生きる力を身に付けた児童生徒を育成するために、小中併設校として9年間を見通した総合的な学習の時間の創造を図るとともに、「小中一貫で進める充実した学習指導の在り方」や「家庭地域と連携した教育活動の在り方」について具体的実践を進めながら究明する。
地域の教育力を活用し、上野のよさを大切にした総合的な学習の時間を展開すれば、ふるさとに誇りをもち、生きる力を身に付けた児童生徒を育成することができるであろう。