本校の児童の実態を受けて,文章問題に自信をもたせ,楽しく考え,主体的に解決していけるような体験を,授業の中でさせていくことが大切だと考えました。
 算数の授業において,題意を的確に読み取る力を育てるためには,まず次の2つがポイントになると考えます。
○ 文章問題に行き着くまでの過程(学習活動)を大切にする。
○ 文章問題を,構造化してとらえられるようにする。

この2つに焦点を当てて,これからその具体的な方法について次のように考えてみました。

 文章問題に的着くまでの過程(学習活動)を大切にする。
 文章問題につながるような,学習活動を取り入れてみよう。つまり,五感を使って,問題場面を体と心(頭)で理解させるという方法です。
 主に,低学年で重視していこうと考えました。
 例えば,次のような活動が考えられます。
☆ 場面を絵で提示して作問する。
☆ 吹き出しを利用した作問をする。
☆ キャラクターとの対話形式で,問題提示をする。
☆ 問題場面の劇化
☆ 問題場面の類似体験
☆ 式から作問
☆ 具体物を使ってのイメージ化

 この他にも,本校の第1学年では,次のような取組がなされています。
@ ぺーバークラフトを使って,紙芝居を作ろう。
A 文にしよう。(文章問題のパターン化)
B 自分の表現で,問題を作ってみよう。
 ・ キーワードをいろいろ募ってみる。
 → 楽しい文章問題ができる。

文章問題を,構造化してとらえられるようにする。
 文章の中で,分かっていることは何なのか,尋ねられていることはどういうことなのかを,しっかりと理解できるようにするということです。
 発達段階によっても,その方法は違ってくると考えます。
 例えば,次のような活動が考えられます。
☆ 問題文に印を付けて,問題の構造が分かるようにする。
☆ 場面を絵に描いてみる。
☆ 場面を,線分図などの図で表してみる。
☆ 板書を工夫して,問題の構造が一目瞭然であるようにする。
☆ 簡単な数字に置き換えて,立式について考えてみる。
☆ 問題を何度も,暗記するぐらい読み,覚える。

 なかでも,本校は,問題文に印をつける方法を,全校で統一しました。その印のことを「わかったマーク」と呼ぶことにしました。
 分かっていることは,
 考えるヒントになるもの(キーワード,単位,数字など)は,○かこみ

 たずねられていることは,波線

 また,発達段階や学級の実態に応じて,ペア学習を取り入れることにしました。
 ペア学習で自分自身の読み取りについて話し合うことにより,友達と読み取りを確認し合い,的確な読み取りへと到達することができると考えます。
 その結果,正しい読み取りのもとで解決が進められることになるでしょう。
 また,読み取りを苦手とする児童にとっては,友達の読み取りの方法を知ることによって,どうすれば正確に読み取れるのか,読み取ったことをどう表現すればよいのかを理解していくようになるのではないかと考えました。
 さらに,授業で適用題に取り組ませる時間を設定することにもしました。
 適用題に取り組むことによって,その時間に学習したことを,再度ふり返りながら確認することができます。また,確実に自分の力で解けたという自信をもたせることも可能です。
 さらに,学習したことを生かしながら読み取りのポイントを押さえられると,正確な解答に結びつくことから,読み取りへの自信に結びつくことも考えられます。